脱出、そして…

 雅ちゃんとゆづきちさんにはちょくちょく電話連絡を試みていたのだが、前評判(?)の通り、さっぱり電話が通じない。周囲を見てみると、多くの人は普通に通話が可能なようだが、一部の人は何度もかけ直してはうなだれている。うなだれている人の手元を見ていると…機種はauがほとんどだった。僕のケータイもauauおわた。次からは「お客様満足度No.1!」とか言ってるCMに「コミケでの便利度ワースト1!」も追加しとけな。


 特に雅ちゃんに連絡が取れないのはまずい(雅ちゃんの家に荷物を置いてある)ので、止むを得ず、僕は会場を出てレインボーブリッジの方角へ向けてひたすら突っ走る事にした。その最中に何度も電話をかける。繋がらない、繋がらない、繋がらない………これは駄目かな、と思った途端、ゆづきちさんからメールが届く。内容は「今から企業ブースへ行くの?」という感じのものだ。時計を見る。13:46。


 ………はて?


 ああ、なるほど。「僕が12:46に送ったメールが今ゆづきちさんに届いた」か「ゆづきちさんはすぐ返信したけど僕のところに届くのに1時間かかった」って事か。凄いなこれは。いずれにせよ、センターに溜まっていたメールがどちらかに届いたという事は、僕かゆづきちさんのどちらかは通話可能領域にいるという事になる。頑張って更にレインボーブリッジに向かって突き進む。そして………ようやく通話が可能になった。


 ゆづきち「しのんこれから企業ブース行くの!?」
 しのん「落ち着けー!」