ヒャッコを買って

 ここ数年、漫画を原作とした作品のアニメ・ドラマ化が異常に増えた。
 特にアニメを観るわけでもないとはいえ出来を心配したり、まだマイナーの域を出なかった作品がメジャーになる可能性を背負う事に淋しさを感じたり、あるいは「話がさっぱり進んでいないのに、まだ早すぎるだろう」と考えたり……
 基本的には人気のある作品がアニメ・ドラマ化の対象になるとはいえ、中には「読んだ事は無いけどこれ大丈夫なのか?」という作品も増えてきた。特にスクエニ系作品にその傾向が強く、『ソウルイーター』のように「世界が狭く感じる」「膨らませる要素は沢山あるけど使い切れていない」(あくまでアニメ化決定時点での事。ここ半年で組織の対立や世界観の広さを描く事で一気に良くなった)という状態のものもあった。某藍略のように「これをアニメ化して誰が得するんだろうか」と、ネタ切れだからって無茶しすぎだろうと思うものもあった。


 ゲーセン友達とばったり本屋で会ったので「オススメ無いですか!」と訊ねると、「最近読んだものだと『ヒャッコ』が良かった」と返答が。そういやアニメ化するとか帯に書いてたよなーとか3巻出たばかりでアニメ化ってどうなのとか考えつつ読んだけれど、これが良かった。


 個性派揃いの女学生観察はもう使われまくりのジャンルだけれど、多くの個性同士が自己主張の競争をしなかったのが好印象。話の投げっぱなしが無い(1話毎にきちんと落とす)のも良かった。
 この手のジャンルだと、絵・キャラ萌え・雰囲気(和みor不条理)のいずれかで人気が出やすいのだけどね。日常の断片を描いて笑わせるのが一番の魅力だと感じたのは久々だった。


 なんだかんだ言っても、アニメ・ドラマ化する作品には何らかの魅力があるものだなと感じた。その魅力と波長が合うかどうかの問題なだけでね。食わず嫌いせずに一度読んでみる価値はあるね。
 自分でも思うし他人からも訊ねられるが、「面白い漫画を探している」のであれば「メディア化された作品を読む」という選択が安牌となるわけか。なんかそれも盛り上がりに欠けるけどな、うん。


 ちなみに『ソウルイーター』は作者的に好きで、内容的にはここ半年のは好印象。某藍略の魅力と思しきものは把握しているが、それを魅力として全く認識出来ないという程度です。