どうもこの病室、抗がん剤投与のために、1泊2日〜2泊3日程度で定期的に入院しに来る方も多いようで、主治医・患者さんの会話に抗がん剤という単語が多々出てくる。
 今だとがんも(本人が望まない場合は別として)オープンな病気なのかなあ。実際、人間は誰しもがん因子を持って産まれてきて、先に寿命が来るから死んでいるだけ・寿命が無限ならいずれがんで死ぬそうだし、身近なものなんだろう……か?


 4月中旬、Oさんという方が、定期的な抗がん剤投与のために1泊2日プランで入院してきた。Oさんは職人気質半分(残り半分は優しさで出来ていた)、奥さんはその分まで喋るという方だった。多く語らぬ旦那と、その心情を察して喋る妻って事です。和むの、ちょー和むの。テレくさそうに旦那が喋って、奥さんが「この人だったらねー略」という感じで足りない分を補足し、更に余計な事まで喋って旦那にたしなめられるのよ。いやー、マジ和む。
 しかしそのOさん、これまでの抗がん剤投与の悪影響なのか、ここ数週間は食事も喉を通らない状態が続いていたそうだ。主治医の先生と相談した結果、しばらく入院して状態を良くする事となる。


 入院後も、食事は1〜2口・水を少し飲むというような状態が続き、食べたもの次第では吐いたりもしていた。
 2日後の夜、Oさんはベッドから立ち上がり病室を出て行った。随分とふらふらしていたので心配になって様子を見に行くと、廊下でうずくまり看護士さんの世話になっている。僕は「あ、これは洒落にならん」「運ばれてくる」と思い、病室に戻ってカーテン開けたり布団をまくったりしておいた。その直後、Oさんが運ばれてきて、数分様子を見た後でベッドごと別室に運ばれていった。


 はい、長くなりましたね!
 要するに「例外もいる」という事なんですけども。


 数日後、偶然Oさんの奥さんと廊下でお会いしたので話をお聞きすると、「大分落ち着いた」との事。その後、何度かお見舞いに行ったが、少しずつではあるが、日を追う毎に調子が良くなってきており、今日は朝食のおかゆを全て食べ、昼食の麺類もいつも以上に食べたそうだ。


 「倒れた日は本気で危なかった。俺は間違いなく死ぬと思った」「でも意識ははっきりしていた。○○さん(僕)手貸してくれたよな?」とか色々話して下さいました。爆笑しながら。気恥ずかしくなったので逃げました。